HEATBEAT STORY 02

自動倉庫で、
物流の未来をつくれ。

倉庫自動化プロジェクト

hbs02

AIやIoTをはじめとしたテクノロジーの進化が、あらゆる業種や職種のこれまでの常識を変えている。物流業界においても例外なく、大きなインパクトが生まれていることをご存知だろうか。これまで人力でやっていたことを、ロボットやテクノロジーの力を用いて、より正確により早く行うことができる。その一つの結論として現在多くの物流企業が取り組み、形になり始めているのが「自動倉庫」である。

SGLも、それに挑戦する企業の一つだ。より大規模な物量、より複雑なオペレーションが自動化によって効率化すれば、コスト面でお客様の経営に大きなインパクトを与えることができる。まだまだ発展途上の分野ではあるが、果敢に挑んでいくことで、未来の物流のあり方を実現しようとしたプロジェクトの実態に迫りたい。

本プロジェクトのテーマ「物流業務の自動化」で扱う商材は、ケーブルテレビ視聴に使用されるチューナーキット。契約時には倉庫からキットを代行配送。契約終了時にはエンドユーザーから戻ってきたキットの受取り、清掃、修理をしつつ、次の契約者に備えて保管するという業務を行っていた。その一連の業務を、自動化することでどのようにコストメリットと業務の最適化を実現し、お客様の経営にインパクトを与えることができたのだろうか。

PROJECT MEMBER

  • 営業担当

    兼平 純

    2006年入社
    顧客と当社営業との橋渡し的な役割と契約締結における営業フォロー

  • 現場運営・改善担当

    押鴨 里枝

    2017年入社
    現場の安全と確実な運営、
    改善推進

  • 全体統括

    大井 陽子

    2006年入社
    プロジェクト全体の進捗、人員、その他全体の管理

  • 現場運営・改善担当

    櫻澤 明樹

    2016年入社
    現場の安全と確実な運営、
    改善推進

  • センター内オペレーション統括

    中川 伸二

    2004年入社
    稼働フォローや人員配置、
    その他お客様への改善提案等

  • 現場運営・改善担当

    美原 龍二

    2015年入社
    現場の安全と確実な運営、
    改善推進

  • 01

    物流の仕組みを、ゼロから見直す。

    SGLではお客様に入り込み、あたかもお客様の物流部門として、まるでお客様の一部署のように商品や製品の物流業務を一括して受け持つことも多い。今回の倉庫自動化プロジェクトもその一例である。きっかけになったのは、あるケーブルテレビの通信サービス会社とのお取引。SGLはお客様からエンドユーザーへのチューナーキット、関連機器の発送から返却受取、さらには保管や清掃までまるごと請け負うというサービスを提供してきた。
    これまで、ビジネス上の重要な部分を担う存在として、頼られていたSGL。しかし、うまくいったことは、さらに改善を続けていくことで進化していかなければならない。その延長にあったのは、抜本的な物流の見直しだった。お客様からのミッションは、3年先を見据えて大改革をしたいというテーマ。その中でSGLもパートナーとしてアイデアを出して欲しい、という依頼だった。

  • 02

    自動倉庫という選択肢。

    これまでは、発注が決まると機器を倉庫の中から人が持ってきてラベルを付けて発送していた。そして返却された機器を人が検品、清掃、仕分けして、再度倉庫に格納するという仕組みで運用されていた。そこで、SGLが提案したのは、自動倉庫。荷物一つひとつにIDを付け、格納場所から出荷、受取から再度格納するまでを自動で行う設備を導入することで、多くのオペレーションが自動化できるのではないかという提案だった。
    しかし、お客様への提案段階で自動化への大筋は合意できていたものの「本当に理想が実現するのか」「コスト的なメリットは証明できるのか」など、経験したことのない未来への投資に対し、合意を取得するまでに何度も提案を繰り返す必要があった。果たして何パーセントコストが削減できるのか。初期投資額は何年かければ回収できるのか。緻密な計算を提出するも、だれもやったことがない挑戦である。最終的な合意を取得できない時期が続いた。

  • 03

    試したことがないことの、根拠は証明できない。

    SGLとしても、今回の設備投資額は大規模なものであった。お客様との間で、削減できた効果をどうシェアするのかという定形の決まり事もないため、手探りの状態だった。しかし、リスクをとらなければ劇的な成長は見込めない。そこでSGLが選んだのは、自らがリスクを取る方法であった。
    自動倉庫を立ち上げるための設備費用予算を自社で負担するという提案。自動倉庫にすることで効率化が図れれば、お客様にとっては倉庫内の占有面積が減り、リスクなく目に見えてコストが下がる。一方で、SGLにとっては自動倉庫を運用する中で、自分たちが効率化を実現させた分だけ自社の利益として返ってくる仕組みのため、リスクを回収できる反面、覚悟を求められる決断だった。

  • 04

    長期取引という、信頼の証明。

    SGLの覚悟を受けて…
    様々な壁を乗り越えながら締結した契約。時間を要した交渉であったが、それだけ、お客様にとっても期待の大きなプロジェクトであるという表れであり、SGLに対する信頼の高さを物語る事実だった。また、これはSGLが単にお客様のニーズを受けるだけではなく、一歩進んで単なる価格競争にさらされるだけの物流企業ではなく、経営にインパクトを与える提案ができるパートナーであることの証明でもあった。
    やると決まれば、あとはひたすら推進するのみである。自動倉庫の設備を担当するメーカーは、世界中で実績のあるメーカーを選び、粛々と進められた。しかし、ここでも大きな壁が待っていた。そもそも稼働をスタートすると決めていた期日を延期しなければいけないようなシステムトラブルが起きていたのだ。開発した自動倉庫システムをテスト稼働してみる。その際のチェック項目は、数にして1000点以上にものぼったという。あるエラー解決のためにシステムを改修をすると、その改修によってまた別の部分にエラーが出る。もちろん通常業務を行う中での対応だ。連日、就業後に全メンバーでエラーチェックに当たるというハードな対応が続いた。

  • 05

    先の見えないゴールに向かい、 肩を組みながら一歩ずつ。

    例を出せば、運ばれてくるオリコン(機材を倉庫内で運ぶための折りたたみできる箱)の中に、本来とは違うものが入っている、など実用上問題となりうるレベルのエラーもあちらこちらで発生していた。しかし、立ち上げまでの期間が半年もないというタイトなスケジュール。さらに言えば、そもそもその半年以下の期間自体が十分なものであるかどうかも、初めての経験であったために、判断ができない状態のまま進んでいたのだ。
    一朝一夕で片付く問題ではない。また、なにか神がかり的なひらめきですべてを突破できるようなものでもない。それを乗り越えるのは、ひとえにチームワーク。そして、なんとしても形にしなければいけないという責任感、そしてこれまでSGLが実現できていなかった自動倉庫を形にするのだという一人ひとりの情熱であった。これまで倉庫の運営を何年も経験してきたベテランメンバーですら、想像もつかない未知のチャレンジ。一丸となったメンバー同士、本音でぶつかることもあったが、「やっとできた」と手を握りあうのも一緒だった。

  • 06

    情熱とチームワークが、 技術の革新を支える。

    待ちに待った完成の日に、自動で荷物を収めていくロボットを見て歓声が上がる。このプロジェクトはそのような、ゴールがわかりやすいものではなかった。むしろ、ここからがスタートだ。自動運転が始まったもののまだ解決しなければいけない課題はいくつもある。しかし、メンバーたちの顔からは喜びがにじむ。「正直めちゃくちゃ大変だったけれど、苦労したぶん、我が子のような愛着があるよね」「これからこのやんちゃな我が子を、さらに一人前に育てていかないとね」と口々に語るプロジェクトメンバーたち。また、本プロジェクトを通じて、自分の担当範囲だけでなく、他担当の動きや考え方を知るきっかけになったことが、他の業務にも活きているという。
    結果を見れば、すでに成果は期待以上であった。お客様にとっても自社にとっても、ビジネスを大きく進化させる実績だ。それに加え、純粋に作業が早く楽になった、また、今まで出来なかった複雑な作業もできるようになる等、お客様にも現場の作業員にも喜んでもらえた。その事実が、SGLとしても、これまでにない大きな成功プロジェクトとして評価もされている。しかし、自動倉庫自体がまだまだ発展途上の技術。今回財産になったのは、ノウハウだけではなく、やはり仲間たちとの絆が深まったことなのだという。すでに自動倉庫は、別の企業への提案としても始まっているという。新たな課題もまだまだ出てくるだろう。それを乗り越えていくのは、チームワークの力。そして、一人ひとりの未来を形にしたいという情熱なのだ。